vSphere のアップグレードポリシーは
5月には利用できるようになると言われている vSphere 7、既存の vSphere からのアップグレードポリシーはどうなのかをちょっと考察。
今までの vSphere で新しいバージョンが出た際のアップグレード対象は、2世代前のバージョン迄という形でした。例えば、
vSphere 6.7 にアップグレードするには・・vSphere 6.5、6.0
vSphere 6.5 にアップグレードするには・・vSphere 6.0、5.5 ※6.0U3除く
vSphere 6.0 にアップグレードするには・・vSphere 5.5、5.1、5.0 ※ 5.5U3除く
vSphere 5.5 にアップグレードするには・・vSphere 5.1、5.0、4.1、4.0 ※5.1U3除く
vSphere 5.1 にアップグレードするには・・vSphere 5.0、4.1、4.0 ※5.0U3除く
vSphere 5.0 にアップグレードするには・・vSphere 4.1、4.0
vSphere 4.1 にアップグレードするには・・vSphere 4.1、4.0、3.5 (U5)
vSphere 4.0 にアップグレードするには・・VMware Infrastructure 3.5
2世代と言いつつ3世代以上っぽく見えるのもありますが、マイナーバージョンがあるのでそれをまとめると世代はこんな感じになります。
- vSphere 7・・・・・これから
- vSphere 6.7、6.5・・一緒の扱い
- vSphere 6.0
- vSphere 5.5
- vSphere 5.1、5.0・・一緒の扱い
- vSphere 4.1、4.0・・一緒の扱い
- VMware Infrastructure 3.5
- VMware Infrastructure 3.0
- VMware Infrastructure 2.3
こんな感じにまとまるんですね。なので、基本的には 2世代前までがアップグレード対象。5.5 の時だけ4つあるけれど、よく見ると2世代というのがわかるかと思います。この辺り「本当?」と思うときは VMware 社のサイトにある「VMware Lifecycle Product Matrix」を見ていただくと良いと思います。例えば vSphere 6.5 と 6.7 の製品リリース日に違いはあっても、サポート終了日は同じなんですね。マイナーバージョンが 0, 5 は 1世代と考えそれ以外はマイナーバージョンで世代ではないと考えるとわかりやすいかと思います。
参考までに、以下の記事にそのあたりを詳しく書いていますので、ご興味のある方は読んでみてください。
vSphere 7.0 にアップグレードできるバージョンは?
そして、vSphere 7.0 はどうなるかというと、
vSphere 7.0 にアップグレードできるのは vSphere 6.5, 6.7 だけです。6.0 は 2世代以上前なので対象外ですね。
このあたりは 6.7 の時の制限 6.5 U2 以上からしかアップグレードが出来ません。これは2019年12月31日に有効期限が切れる証明書が含まれる ESXi を対象から外したということではないかと思っています。つまり vSphere ESXi 6.5無印と ESXi 6.5U1 は証明書が古いから ESXi 6.5 U2以降にアップグレードした後に vSphere 7 にしましょうということになるのではないかなと思います。
この証明書関連の話は KB76555 に記載あるので、一読しておくと良いかもしれません。
vSphere 7のライセンス
vSphere 7 ではライセンス体形が変わります。どのように変わるかというと今まではソケット単位のライセンスだったのが、1ソケット 32コアまでは 1ライセンスで、それを超えた分は別にライセンスを追加しなけれあならないという形になりました。どんな形に変わったかというと、
- 1ソケット32コア迄・・・・・・・・1ライセンス
- 1ソケット32コア以上・・・・・・・2ライセンス
- 2ソケット32コア迄・・・・・・・・2ライセンス
- 2ソケット32コア以上・・・・・・・4ライセンス
となるわけです。完全に AMD Ryzen 対策ですね。(笑)
なお既存の環境を vSphere 7 にアップグレードする際でも新しいライセンス体形になるので、32コア以上のサーバーを使っている方はライセンスの追加が必要になるので注意してください。詳細は以下のページの内容をご確認ください。
提供される vSphere 7 エディションは
これは以下のものが提供されるようです。
今までと同じ
- Standard
- Enterprise Plus
リモートオフィス/ブランチオフィス向けに
- ROBO Standard
- ROBO Advanced
- ROBO Enterprise
あとは今まであったのと同じ Essentials キット2つ
- Essentials Kit
- Essentials Plus Kit
そしてビッグデータとHPCワークロードのための
- vSphere Scale-Out
が用意されました。
これらの製品のアップグレードパスについては、新しいエディションはまだ見えてきていないので、同じ名前のエディションでアップグレードできるかと思います。この辺り、サポートとアップグレードパスについてどのようになるかは以下のページに書きましたのでご覧ください。
新型コロナの最中に登場する vSphere 7、どの位のユーザーが移行を始めるかが気になるところですね。特に今起きていることとして既に契約・発注してしまった案件は進めていくけれど(多分 vSphere 6.7 とかで)、これからの案件はすべてストップして DX やらクラウドネイティブやらをいったんやめて既存システム延命でコストを削り、そのお金をテレワークやリモートアクセス関連に回していると聞きます。そのため、vSphere 7 が本格的に使われる時期もだいぶ後になるのではないかなぁと思ったりしています。それでも、いつかは vSphere 7 を使う時が来るので、技術者は勉強して知識を蓄えていかないとと思います。
最後に、vSphere 5.5 からの ESXi の画面の一部を。vSphere Client 側は UI がどんどん変化していきますが ESXi は変わらないなぁと思います。(VMware Workstation Pro 15.5.2 上の仮想マシンで作っています。)
※アップグレード対象の記述部分を一部修正しました。