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vSAN ファイルサービスと同じような他社のサービスと並べてみた


vSphere 7 から使える vSAN ファイルサービスが出たのでちょっと調べてみました。

vSAN ファイルサービスとは

vSAN ファイルサービスとは、vSAN 上でクライアント ワークステーションまたは仮想マシンからアクセスすることができるファイル共有の場所を作れるもので、今回は NFS が利用できるようになっています。

vSAN ファイルサービスの使える範囲は

vSAN ファイルサービスそして NFS サービスと聞くと、ネイティブに vSAN レイヤと同じように NFS も構成するのかなと思ってしまうのですが実はそうではなく、vSAN の上で NFS で使えるディスクを切り出して、そのディスクをアプライアンス上の NFSサービスがマウントして、vSphere 仮想マシンファイル サービス仮想マシン (FSVM) )から NFS ストレージとして使えるようにしています。つまり、物理 NFS ストレージとは異なり、あくまでも FSVM アプライアンスが提供する NFS マウントのディスクが vSAN 上に作られて使えるという感じで、制限事項としてこの vSAN ファイルサービス を ESXi の NFS データストアとして使用することができず、あくまでも仮想マシンからアクセスされる NFS ストレージとしての使いかたに制限されます。

vSAN ファイルサービスの構成とアクセス経路は

今回登場した vSAN ファイルサービス、ここまで調べてみるとなにかに似ているなぁと思ったら、そうそうコンペティターの Nutanix の仕組みと似ていない?と気づき、ちょっと図にしてみました。 

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構成比較

この図を見てわかる通り、今回の vSAN ファイルサービスの NFS サービスを提供する FSVM は Nutanix の CVM と同じ位置づけにあって、同じようにそこが NFS サービスを提供しています。つまり、vSAN は vSAN 上に作られた NFS 用仮想ディスクに対して FSVM が NFSサービスを仮想マシン側に見せる仕組み、Nutanix はDSF でコントロールされた NDFS を CVM がパススルーでマウントし、それを仮想マシン側に NFS として見せる仕組みで、結局のところ間に入る仮想マシンNFS サービスを行っているということになります。このあたりが、vSphere 6.5 から提供が始まり vSphere 6.7 で拡張された vSAN iSCSI ターゲットサービスとの大きな違いですね。

 

間に入る仮想マシンの形は

vSAN ファイルサービスの NFS サービスでは、ファイル サービス仮想マシン (FSVM) はアプライアンスではあるのですがコンテナとして提供されます。ただ、このコンテナも KVM などのネイティブコンテナではなく、Photon OS 上に NFS サービスを実装したものが展開され、それが vSAN からまとめてコントロールされて vSAN 上の NFS サービスとして提供される形になります。それに対して Nutanix の場合は管理用の CVM は仮想マシンですが、Photon OS と同じように Linux でありその上からの NFS サービス提供なので差はありません。

唯一違うというところは CVM は直接パススルーで物理ディスクをコントロールする RAID コントローラにアクセスするということで、vSAN は vSAN ファイルサービスの NFS は一度 vSAN に制御を渡してそこから物理ディスクをコントロールする RAID コントローラにアクセスするという部分で、その差が Nutanix の場合は直接仮想マシンを置けるけれど、vSAN ファイルサービスは仮想マシンを置く場所として使えないという違いなのかもしれません。

vSANファイルサービス上の NFS サービスの使い道は

なので、vSAN ファイルサービス上の NFS サービスの使い道としては、期待していたような NFS ストレージの代替として仮想マシンを置く場所としては使えないのですが、それ以外の部分として単純なストレージとして NFS ストレージを使っている場合は十分それに代わるものとして使うことはできるかと思います。

物理ストレージとして NFS ストレージが残るのは仮想化環境として美しくないと感じる IT 担当者の方は、一度 vSANファイルサービス上の NFS サービスを使って「NFS ストレージレス」の環境をデザインしてみてはいかがでしょうか。