まだまだバージョンアップ!VMware vCenter converter の最新版 6.6.0 登場
2018年リリースされたバージョン6.2.0.1以降長い間更新がされず、2022年2月には公開終了になった vCenter converter、2022年10月11日に突然 vCenter converter の新しいヴァージョンが公開されたのですが、Broadcom に買収された後もまだまだバージョンアップされていました。
新しい VMware vCenter Converter 6.6.0
2024年2月22日に公開されたのは、前回の 6.4.0 から 1つ番号を飛ばした 6.6.0 になりました。Build は 23265344 です。VMware Customer Connect にログインすることで、ダウンロードが可能になっています。
また今までと同様に、古いバージョンの vCenter Converter のダウンロードは出来なくなっています。この辺り、複数のバージョンをサポートし続けるのは大変なので致し方が無いところです。
vCenter Converter での新しい機能は
vCenter Converter は新しいバージョンが登場しても、機能はほとんど変化することがありません。今回は以下の2つの機能が加えられています。
- Red Hat KVM および Nutanix AHV で実行されるパワーオン状態の仮想マシンのサポート
- vCenter Converter ヘルパー ISO を Photon OS オペレーティング システムに移行
一つ目のパワーオン状態の KVM サポートは便利な機能だと思います。それに伴って同じような Nutanix の AHV もサポートしたのが目立つ機能追加だと感じます。これを使うことで、Nutanix の環境から VMware ベースのクラウドに移行させることも簡単になりそうな感じがします。感じというのは私自身がテストする環境を持っていないので想像するしかないということですね。VMware vSphere から Nutanix へは古くから Nutanix 側でツールを用意していましたので、これで双方向パワーオンでの仮想マシン移行が出来るようになったということになりました。
二つ目の vCenter Converter ヘルパー ISO を Photon OS に変えた点、これは vCenter Server Appliance 他 Linux ベースで動く VMware の製品が Photon OS に移行したのと同様なので、いずれはなると思われていた部分です。なので、こちらも特に驚く機能追加・変更ではありません。
その他としては、今の Linux が新規サポートされています。
- Red Hat Enterprise Linux 8.0 (64 ビット) 以降のマイナー バージョンのサポート
- Red Hat Enterprise Linux 9.0 (64 ビット) 以降のマイナー バージョンのサポート
- Ubuntu Linux 18.04 LTS (64 ビット) のサポート
- Ubuntu Linux 20.04 LTS (64 ビット) のサポート
- Ubuntu Linux 22.04 LTS (64 ビット) のサポート
その他として、ユーザーインターフェースに表示されるアイコンが新しくなっています。vCenter Converter 自体使うことが殆どなく、そして微妙過ぎて最初は気づきませんでした。
vCenter converter で何ができるの?
一応みんな知っているかと思いますが整理を兼ねてできることを書きました。
- Windows または Linux オペレーティング システムを実行している物理マシンを、中断やダウンタイムなしで VMware 仮想マシンに迅速に変換
- 複数の物理サーバーまたは仮想マシンのリモート変換を集中管理しながら同時実行可能
- データ移行前にソース マシン上のゲスト オペレーティング システムの静止スナップショットを取得し変換時の信頼性を確保
- ソース サーバーのダウンタイムや再起動なしに変換が可能
つまり、ソースになる物理マシンや仮想マシンを無停止で VMware の仮想マシンに変換ができるツールということです。この便利さがマシンの変換に役立ちます。
サポートされるプラットホームは?
6.6.0 では 6.4.0でサポートされた AWS EC2のような大きな変化はありません。サポートされるプラットホームも先に追加された Linux 以外は同じです。
6.6.0 でサポートされるプラットホームは以下の通りです。
- インストール可能なオペレーティングシステム
-
Windows Server 2012 (64ビット)
-
Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
-
Windows 10 (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Windows Server 2016 (64ビット)
-
Windows Server 2019 (64ビット)
-
Windows 11 (64 ビット)
-
Windows Server 2022 (64ビット)
-
- 移行元:Hyper-V サーバ(オフライン変換)
-
Windows Server 2012 (64ビット)
-
Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
-
Windows 10 (64 ビット)
-
Windows Server 2016 (64ビット)
-
Windows Server 2019 (64ビット)
-
Windows 11 (64 ビット)
-
Windows Server 2022 (64ビット)
-
- 移行元:VMware プロダクト(オフライン変換)
6.4.0 でサポートしていたプラットホームは以下の通りです。
- インストール可能なオペレーティングシステム
-
Windows Server 2012 (64ビット)
-
Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
-
Windows 10 (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Windows Server 2016 (64ビット)
-
Windows Server 2019 (64ビット)
-
Windows 11 (64 ビット)
-
Windows Server 2022 (64ビット)
-
- 移行元:Hyper-V サーバ(オフライン変換)
-
Windows Server 2012 (64ビット)
-
Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
-
Windows 10 (64 ビット)
-
Windows Server 2016 (64ビット)
-
Windows Server 2019 (64ビット)
-
Windows 11 (64 ビット)
-
Windows Server 2022 (64ビット)
-
6.3.0 でサポートしていたプラットホームは以下の通りです。
インストール可能なオペレーティングシステム
-
- Windows Server 2012 (64 ビット)
- Windows 8.1 (32 ビットおよび 64 ビット)
- Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
- Windows 10 (32 ビットおよび 64 ビット)
- Windows サーバー 2016 (64 ビット)
- Windows サーバー 2019 (64 ビット)
- Windows 11 (64 ビット)
- Windows Server 2022 (64 ビット)
- 移行元:Hyper-V サーバ(オフライン変換)
- Windows Server 2012 (64 ビット)
- Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
- Windows 10 (64 ビット)
- Windows サーバー 2016 (64 ビット)
- Windows サーバー 2019 (64 ビット)
- Windows 11 (64 ビット)
- Windows Server 2022 (64 ビット)
- 移行元:VMware プロダクト(オフライン変換)
既にサポート対象から外れている 6.2.0.1 でサポートしていたプラットホームは以下の通りです。
- インストール可能なオペレーティングシステム
- Windows Vista SP2 (32-bit および 64-ビット)
- Windows Server 2008 SP2 (32-ビット および 64-ビット)
- Windows 7 (32-bit および 64-ビット)
- Windows Server 2008 R2 (64-ビット)
- Windows 8 (32-bit および 64-ビット)
- Windows Server 2012 (64-ビット)
- Windows 8.1 (32-bit および 64-ビット)
- Windows Server 2012 R2 (64-ビット)
- Windows 10 (32-bit および 64-ビット)
- Windows Server 2016 (64-ビット)
- 移行元:Hyper-V サーバ(オフライン変換)
- Windows Server 2008 R2 (64-ビット)
- Windows Server 2012 (64-ビット)
- Windows Server 2012 R2 (64-ビット)
- Windows 10 (64-ビット)
- Windows Server 2016 (64-ビット)
- 移行元:VMware プロダクト(オフライン変換)
このように少しづつ違いがありますが、基本はインストールできるOS、移行元OSの新しいバージョンのサポートがメインになっています。
サポートされるゲストOSは
6.4.0 でサポートされるゲストOSは以下の通りです。
-
Windows Server 2012 (64ビット)
-
Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
-
Windows 10 (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Windows Server 2016 (64ビット)
-
Windows Server 2019 (64ビット)
-
Windows 11 (64 ビット)
-
Windows Server 2022 (64ビット)
-
CentOS 6.x (32 ビットおよび 64 ビット)
-
CentOS 7.x (64 ビット)
-
Red Hat Enterprise Linux 6.x (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Red Hat Enterprise Linux 7.x (64 ビット)
-
Red Hat Enterprise Linux 8.x (64 ビット)
-
Red Hat Enterprise Linux 9.x (64 ビット)
-
Ubuntu 14.04 LTS (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Ubuntu 16.04 LTS (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Ubuntu 18.04 LTS (64 ビット)
-
Ubuntu 20.04 LTS (64 ビット)
-
Ubuntu 22.04 LTS (64 ビット)
なお、それ以前のバージョンでサポートされていた古いOSが、サポート対象からはずれることもありますので注意が必要です。
6.4.0 でサポートしていたゲストOSは以下の通りです。
-
Windows Server 2012 (64ビット)
-
Windows Server 2012 R2 (64 ビット)
-
Windows 10 (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Windows Server 2016 (64ビット)
-
Windows Server 2019 (64ビット)
-
Windows 11 (64 ビット)
-
Windows Server 2022 (64ビット)
-
CentOS 6.x (32 ビットおよび 64 ビット)
-
CentOS 7.x (64 ビット)
-
Red Hat Enterprise Linux 6.x (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Red Hat Enterprise Linux 7.x (64 ビット)
-
Ubuntu 14.04 LTS (32 ビットおよび 64 ビット)
-
Ubuntu 16.04 LTS (32 ビットおよび 64 ビット)
6.3.0 でサポートしていたゲストOSは以下の通りです。
- Windows Server 2012 (64-ビット)
- Windows 8.1 (32-bit and 64-ビット)
- Windows Server 2012 R2 (64-ビット)
- Windows 10 (32-bit and 64-ビット)
- Windows Server 2016 (64-ビット)
- Windows Server 2019 (64-ビット)
- Windows 11 (64-ビット)
- Windows Server 2022 (64-ビット)
- CentOS 6.x (32-ビット および 64-ビット)
- CentOS 7.x (64-ビット)
- Red Hat Enterprise Linux 6.x (32-ビット および 64-ビット)
- Red Hat Enterprise Linux 7.x (64-ビット)
- Ubuntu 14.04 LTS (32-ビット および 64-ビット)
- Ubuntu 16.04 LTS (32-ビット および 64-ビット)
既にサポート対象から外れている 6.2.0.1でサポートしていたゲスト OS は以下の通りです。
- Windows Vista SP2 (32-ビット および 64-ビット)
- Windows Server 2008 SP2 (32-ビット および 64-ビット)
- Windows 7 (32-ビット および 64-ビット)
- Windows Server 2008 R2 (64-ビット)
- Windows 8 (32-ビット および 64-ビット)
- Windows Server 2012 (64-ビット)
- Windows 8.1 (32-bit および 64-ビット)
- Windows Server 2012 R2 (64-ビット)
- Windows 10 (32-ビット および 64-ビット)
- Windows Server 2016 (64-ビット)
- CentOS 6.x (32-ビット および 64-ビット)
- CentOS 7.0, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.5 (64-ビット)
- Red Hat Enterprise Linux 4.x (32-ビット および 64-ビット)
- Red Hat Enterprise Linux 5.x (32-ビット および 64-ビット)
- Red Hat Enterprise Linux 6.x (32-ビット および 64-ビット)
- Red Hat Enterprise Linux 7.0, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.5 (64-ビット)
- SUSE Linux Enterprise Server 10.x (32-ビット および 64ビット)
- SUSE Linux Enterprise Server 11.x (32-ビット および 64-ビット)
- Ubuntu 12.04 LTS (32-ビット および 64-bビット)
- Ubuntu 14.04 LTS (32-ビット および 64-ビット)
- Ubuntu 16.04 LTS (32-ビット および 64-ビット)
コンバートできる組合せは
vCenter Converter は比較的容易に仮想マシンのコンバートをすることが出来るのですが、それでもオペレーティングシステムごとに対応できるコンバート手段が変わってきます。以下の表の中の「はい」と書かれている部分が利用できる組合せです。「いいえ」と書かれている組合せは利用することが出来ません。
サポートされているオペレーティング システム | コンバーターのスタンドアロンのサポート | パワーオン状態のマシン変換のソース | 仮想マシン変換のソース | 設定ソース |
---|---|---|---|---|
Windows Server 2012 (64ビット) | はい | はい | はい | はい |
Windows Server 2012 R2 (64 ビット) | はい | はい | はい | はい |
Windows 10 (32 ビットおよび 64 ビット) | はい | はい | はい | はい |
Windows Server 2016 (64ビット) | はい | はい | はい | はい |
Windows Server 2019 (64ビット) | はい | はい | はい | はい |
Windows 11 (64 ビット) | はい | はい | はい | はい |
Windows Server 2022 (64ビット) | はい | はい | はい | はい |
CentOS 6.x (32 ビットおよび 64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
CentOS 7.x (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Red Hat Enterprise Linux 6.x (32 ビットおよび 64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Red Hat Enterprise Linux 7.x (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Red Hat Enterprise Linux 8.x (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Red Hat Enterprise Linux 9.x (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Ubuntu 14.04 LTS (32 ビットおよび 64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Ubuntu 16.04 LTS (32 ビットおよび 64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Ubuntu 18.04 LTS (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Ubuntu 20.04 LTS (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
Ubuntu 22.04 LTS (64 ビット) | いいえ | はい | はい | いいえ |
その他の留意事項は
その他細かい要件も多くありますので、ユーザーガイドやリリースノートを参照してください。
ダウンロードは
こちらからダウンロードができます。Customer Connect のアカウントが必要ですが無償で登録できるので、Customer Connect のアカウントを作成してからダウンロードをしてください。
インストールは
vCenter Converter は古いバージョンに対するアップグレードインストールはできないパターンがあります。6.2.0.1 までの vCenter Converter Standalone をインストール済みの場合、まずはそれをアンインストールした後に 6.6.0 を新規インストールする必要があります。6.3.0 移行であればアップグレードインストールは可能です。
新規インストールの場合はそのままインストーラを実行するだけです。
その他の留意点
既知の問題点とその回避策や解決された問題についてはリリースノートに記載がありますので必ず参照するようにします。
ユーザーガイドも英語ですが用意されています。
Broadcom になってどうなるか心配していましたが、AWS のクラウドや Nutanix のサポートなど、ますます便利になっていく vCenter Converter、この後どこまで進化していくのかが気になります。