前回は ESXi Arm Edition をインストールした Raspberry Pi 4 をシリアルコンソール化し、ヘッドレスシステムにし、Chromebook をシリアルコンソールサーバーにしてみましたが、一つ難点、手元のPCから一度 Chromebook のシリアルコンソールサーバに入らなければならなくて不便でした。
シリアルデバイスサーバーを買ってみた
そこで思いついたのが、製造ラインや少し古めの鉄道車両内のデータ収集用にも使われる、シリアルデバイスサーバーを使えば LAN 経由でシリアルデータを手元の PC まで持ってこれて、そこで TeraTerm 起動してつなげばヘッドレスシステムの ESXi Arm Edition のDCUI 表示できるよねと思い、勢い買ってしまいました。買ったのはこれ。
MOXA の NPort 5410、販売開始が2003年09月01日なので、既に18年前の製品。安くなっていたので買ったけれど、一抹の不安。
早速LANにつないで、手持ちのパーツを寄せ集めて専用のケーブルを作成。
早速 ESXi Arm Edition の Raspberry Pi 4 につないで、シリアルコンソール通信のテスト。結果は惨敗!!
Raspberry Pi 4 の UART の通信速度に合わせ115,200にして通信しているのに。そして NPort 5410 の仕様でも通信できる速度なのに。文字化けしてダメでした。
MOXA NPort 5410 仕様
通信ケーブルを作り直したり、別のアダプタ経由でやったりしてもダメ。何だろうなぁと思いつつ諦め・・・・ました。
そして、別のパーツでRaspberry Pi 4 1台ずつのアダプタを作ろうと思っていたのですが、
QNAPのNASのメンテナンスをしていてハタと思いついたことが。
「QNAPで仮想マシン動かしているんだし、QNAPをシリアルコンソールにしちゃえばよいんじゃね?」
早速やってみます。
QNAP NASのシリアルコンソールサーバー化
仮想マシンを立ててそこ経由でUSBシリアルポートを使うため、QNAPのVirtual Station内に仮想マシンを立てて、USBデバイスを接続。下のキャプチャの「PL2303 Serial Port」というのが、QNAPにつないだ Raspberry Pi 4 の ESXi Arm Edition のシリアルポートです。
そして仮想マシンを起動し仮想マシンにRDPで接続、ログイン後にTeraTermをシリアル接続でつないだら、完成!です。
家ラボではQNAPとRasPi ESXi が並んでいたので簡単にできたのが幸いです。そして、この結果Chromebookはまたもやお蔵入り、シリアルデバイスサーバーも物置行きが決定です。
別の方法も試す
QNAPで仮想マシンを立てることのできないモデルの場合、QNAP App Center からアプリケーションをダウンロードすることで、同じようなことができます。
これは QNAP の App Center に登録されたサードパーティー製アプリですが、QNAP の USB ポートに接続された USB デバイスを、そのままクライアントソフトを入れた PC にマウントできるようにするもので、別途 VirtualHere Client とセットで使います。
まずは QNAP の App Center からアプリケーションをダウンロードしてインストール、次に NAS FAQ | VirtualHere からクライアントをダウンロードして、手元のPCにクライアントをインストールするだけで使えるようになります。
QNAP側にアプリケーションがインストールされていれば、PCにクライアントをインストールするだけで、キャプチャ画面のように USBポートに刺した ESXi Arm Edition の Raspberry Pi 4 につながている USB-Serial デバイスが見えてくるのでそれをクリックするだけで接続されます。
そして TeraTerm のシリアル接続でつなぐと
こんな感じで DCUI が表示されます。画面を見てわかると思うのですが、先の方法で Windows に直接シリアルポートをつなぐと表示される罫線は、この方法だと「・」になってしまうのが見栄え悪いですが、それ以外は普通に使えるのでとても便利になりました。
ただ、VirtualHereは QNAP NAS デバイスに紐づくライセンスで $49 かかります。私は仮想マシンを起動しないでもできるのでライセンスを購入しましたが、シリアルコンソールのためにお金は出せない場合は、前者の方法で済ますとよいでしょう。また、QNAP なくてもサイレックスのデバイスサーバーでも同様にできると思うので、ヘッドレスシステムで ESXi を動かしたい方は、ぜひチャレンジを。