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これから出てくるオンプレミス VDI VMware Horizon での課題

2年前から始まったコロナ禍、各企業は政府の要請に合わせて慌てて在宅勤務環境を用意していったと思います。その在宅勤務の選択肢の中には仮想デスクトップつまり VDI 環境を用意するというのもありました。私も外部講演で仮想デスクトップによる在宅勤務環境の整備の話を良くしていたのですが、ここにきて VMware Horizon がライセンス体系を変えてきたのを理解している人はまだまだ少ないかなと思いました。そこで、どう変わるかということを整理してみました。

今までの VMware Horizon のライセンスは

VMwareのライセンスはパーペチュアル(Perpetual:永続型)ライセンスといって、買ったら最後ずっと使い続けていても問題のないライセンスでした。つまり、製品のライセンスは購入した人の所有になっていたわけです。それに対して製品に対するサポートは別途 Support & Subscription(SnS)サービスを購入する必要がありました。つまり初年度はライセンス+SNSの費用が発生しました。このあたり、図にすると以下のようになります。

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ライセンスとSNS

2021/5/7 から変更されたライセンス

コロナ禍が落ち着いていない今年の5月に、VMwareでは在宅勤務に有用な仮想デスクトップ製品である VMware Horizon のライセンス体系を変更しました。この変更は、クラウドでもライセンスが活用できるようにというとこで変えたように見えますが、実はオンプレミスで VMware Horizon を利用している企業・団体にも大きな影響が出る変更でした。簡単にまとめると、

  • パーペチュアル(永続)ライセンスの廃止
  • 3つのライセンス体系に分類し、それぞれのライセンスを混在利用することはできない

形に変わっています。イメージはこのような感じです。

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VMware Horizon のライセンス提供形態

見た目は大きく変わらないのですが、実は Horizon Term に変わったオンプレミス専用のライセンスでは、ライセンス運用の仕方が変わってしまいました。ここ非常に重要な点で、IT管理者が新パッケージのライセンスモデルに移行した後は、期間限定ライセンスとSnSがセットになったサブスクリプションを購入し、その時に発行されるライセンスを毎回登録するという作業を行わなければならなくなっています。つまり、期間限定ライセンスの満期までの間に新しいライセンスを購入し入れておかないと、Horizon 環境の全停止を引き起こす恐れが出てきたわけです。IT 管理者の負担増!ですね。複数年契約もできますが3年以上5年までとの制限があり、先払いでお金を払わないと 1年ごとのライセンス更新の恐怖にさいなまれることになります。

オンプレミスの Horizon のライセンス、どうしたらいいの?

閉鎖網でどうしても運用しなければならない Horizon 環境の場合では、残念ながら Horizon Term とサブスクリプションの手動更新で運用していくしか方法はありません。でも、閉域網ではなくインターネットに接続されている環境の場合は、Horizon Subscription に移行することでライセンス更新を自動で行うことができます。Horizon Subscription ではオンプレミスだけではなくクラウドでの利用も可能なので、ベアメタルで提供されたクラウドに対しても Horizon Subscription が利用できます。そして、Horizon Subscription では vSAN for Desktop も付属してきますので、Perpetual ライセンスで vSAN を使った環境の場合でも、安心してライセンス移行ができます。(Horizon Team も vSAN for Desktop は付属してきます)

この辺りは以下の図のようになります。

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ライセンスの購入と適用

つまり、Horizon Subscription に移行することで、ライセンスを購入した後の登録含めて、クラウド側ですべて対応していくことができるようになります。ただし、閉域網での利用ができなくなりますので、「我が社は閉域網必須でオンプレミスにしたんだ!!」というような企業では、その環境を見直す必要が出てくるかもしれません。

ライセンスの選択は

3種類の新しいライセンスの選択方法ですが、以下のようになるでしょう。

  • オンプレミスのみで閉域網必須・・・・・・・・Horizon Term

  • オンプレミスでインターネット接続あり・・・・Horizon Subscription
  • オンプレミスまたはクラウドで利用する・・・・Horizon Subscription
  • ハイブリッドクラウド運用・・・・・・・・・・Horizon Universal Subscription

これに加えて、VDI と RDSH を併用するか、それとも RDSH だけまたは VDI だけになるかなどによってライセンスの買い方が変わります。

  • VDI だけまたは VDI と RDSH 両方を使う場合・・Horizon Term / Horizon Subscription / Horizon Universal
  • RDSH だけを使う場合・・Horizon Apps / Horizon Apps Subscription / Horizon Apps Universal Subscription

VDI のライセンスは期限付きのライセンスキーまたは VMware Cloud Connecter によるクラウド管理に移行していますが、RDSH の場合 Horizon Apps はまだ期間限定ライセンスになっていません。なので、オンプレミスで RDSH だけの場合は、今まで通りの永続ライセンスでの利用になるようです。

ライセンスの更新は

現在 Perpetual ライセンスを使っている場合で SnS 更新が来た場合はどうなるかですが、以下の選択肢の中から選ぶことになります。

1. Perpetual ライセンスをそのまま使い続ける

Perpetual ライセンスをそのまま使い続けたい場合は SnS を 3年契約する必要があります。しかも、Basic SnS は 2021/2/8 に提供が終了しているので、Production SnS を購入するしか方法がありません。もしかしたら相当コスト増になる場合も出る可能性があります。

2. Team ライセンスにアップグレードする

現実的にはこれにならざるを得ないと思います。Term Upgrade Program(TUP)tというサービスがありますので、それを利用して既存の Perpetual ライセンスを Horizon Termへ移行します。新規に Team ライセンスを買うよりも安く移行ができるので、Perpetual ライセンスを購入して環境を作ったばかりの場合は、これで Team ライセンスに移行するのも一つの方法だと思います。

3. Subscription にアップグレードする

インターネットに接続されている Horizon 環境であれば、ライセンス管理が楽になる Horizon Subscription へアップグレードするのが一番良いでしょう。こちらも Subscription Upgrade Program(SUP)というサービスがありますので、それを利用して新規購入より安価にHorizon Subscriptionへ移行ができます。

2. 3. の注意点

移行時点は安価ですが、次年度以降の更新費用は安くならないので、そこも含めてコストを計算することも重要です。

VDI をそのままオンプレミスで維持していく?

Horizon のライセンス形態が大きく変わった理由として、VMware ががっぽり儲けたいというのもあるかもしれませんが、実際にはクラウド移行を促しているのではないかと私は感じました。オンプレミスで複雑な Horizon インフラや vSphere インフラを維持管理していくのではなく、その部分は VMware Cloud on AWS 上や Horizon Cloud on Azure を使ってしまい、IT 管理者はそれより上位のユーザーに使ってもらう仮想デスクトップの中身だけ意識すれば済む形に変えたらどう?と言っているような気がしてなりません。だからライセンスもわかりやすくサブスクリプション型にしてクラウドで管理に変えたのではと思いました。

そろそろオンプレミス Horizon の更新を控えている企業・団体も多いでしょうから、この機会にオンプレミスのインフラを捨てて、Horizon 自体をベアメタルのクラウド上に移行するというのもありではないでしょうか。多分パブリッククラウドの DaaS への移行よりも自由度が高く、今までと変わらないユーザーエクスペリエンスを提供できるかと思います。

また、その後は仮想デスクトップの使い方を見ながら、パブリッククラウドEUC サービスと併用していくという選択肢も出てくるかと思います。管理負荷の軽減とコスト削減を両立させるためにも、VMware Horizon のライセンス形態が変わったのをきっかけに、新しいインフラに移行することを検討するのもありではないでしょうか。